晩夏
高校の下校中の電車内のこと。私は英単語帳を眺めてため息をついた。学校が終わったら毎日、塾。
いつも何かに追われている。やりたくなくて、明確な目標がないことに追われている。
すごく胸が詰まるし、体と頭にうまく酸素が入ってこない感じがする。
うまく息を吸えないまま、また吐き出した空気はやはりため息になった。
ほら、と向かいに座っていたおじさんに声をかけられた。
月が綺麗だよ。
知らないおじさんはそれだけ言うと、さっさと電車を降りてしまった。
そして私は振り返って、久し振りに空を見上げた。電車に乗ってから始めて単語帳から目を挙げた。どうして気づかなかったのか、こんなに大きな明るい月を。
肺が少しだけ潤って、グインと伸びて、酸素がたくさん入ってきた感じがした。
それからは、出来るだけ言うことにしている。
見知らぬ誰にでも効くおまじないだ。
ほら、月が綺麗だよ。
そういえば私、転職した
そういえば、このブログをしばらく放置してしまった。
少しずつでも書く練習をして、書くことを当たり前にして、あわよくば仕事にしたいなんて思っていたのに。
そういえば私、転職しました。
生まれ育った兵庫から、結局また東京に戻ってくることになりました。
東京は、無関心で、自由で、ひんやりしていて、その分温かみのあるのんびりできる町です。少なくとも私にとっては。
山手線がやって来たので取り急ぎ報告だけ。
また書きます。
長期免停なんてやるせない
スピード超過で90日免停をくらい短期講習を受けることになった私。
1日目の座学は眠気と実際に眠る受講者とそいつを怒る教官に悩まされた。
今日は実技も多いから昨日よりはマシだろうか。。。
2日目
相変わらず喫煙率高め、マニュアル多め(話しかけてきたニイチャンはトラックの運転手だそうだ)、所持品を落としたり置いてきまくって心配になるおばあちゃん(はじめはおじいちゃんだと思っていたが、どうも違うっぽい。たぶん)などバラエティに富んだメンバー。その中の私も、「不機嫌なOL」「昨日と同じデニムの女」としてエントリーしている。
まずはCRTという、コンピュータを使った動作試験。CRTがなんの略なのかわからないままだったが、画面に赤い丸が出たら足を動かす、手を動かす、、、を10分程度、4パターンくらい繰り返す。ヘッドフォンの音が大きすぎてイライラするが、イライラする程悪い結果になりそうなので、心を無にしてがんばろう。
実車での講習は悪い癖をアドバイスしてもらおうと臨んだのに、教習所内を一通り回るだけ。慣れてます、落ち着いて、これからもよく目視をして運転してくとさい。アドバイスはこれだけ。なんなら同乗した男性の評価シートの方が、視線が近い、力みすぎなど指摘があり運転も申し分ない。惚れ惚れするようなハンドルさばきに落ち着いた安全確認。こんな彼氏がいたら安心してドライブデートができるだろうな、と思った。が、そんな彼も90日以上の長期免停なのだ。
あとは、交通事故がもたらす不幸の連鎖をドキュメンタリーに纏めたものや遺族の声、ドラマなど計4本を視聴した。心は痛むがこのVTRの作成費や不十分なフィードバックを寄越す運転教官の給与のために私が昨日納めた2万5000円が使われていると思うと、より内容を充実させてほしいと思ってしまう。少なくとももっといい俳優を使おう。
最後に一つ書き留めたい。
今日はコンビニ飯が嫌だったので、施設の食堂でカレーを食べたのだが、正直まずくてびっくりした。
カレーなんてものは、美味しくしようとすればいくらでも美味しくなるものの、不味くはなるまい、レトルトもレトルトなりに美味しいし。それが私の判断ミスだった。
ルーはいわゆる普通の安いカレーの味なのだが、ご飯が昨今稀にみるべちゃっとライスだったのだ。しかも無味。日本の誇るコメが味がしないなんてどういうことだ?!
とにかくまずいカレーのせいで不機嫌になった私は、眉間にしわを寄せながら、近くのコンビニでコーヒーだけでなくジャイアントコーンでお口直しと相成った。カロリー。
そうして私はなんとか短縮の45日を勝ち取った。適性検査には「心が重いときはハンドルを握らないようにしましょう」とある。仕事で運転するなってことね。転職を決めた日、である。
長期免停なんてとんでもない
ある晴れた五月。
高速道路を快調に飛ばした、ーいや、言い訳するなら後続車からのクラクションから流れるようにアクセルを踏み込んでいたー 私は稲妻のような閃光にはっとした。道路の脇には60の文字が。わたしのスピードメーターは110キロを指していた。
というのは嘘で、自動速度測定器に引っかかったことなどわたしは全く気づかなかった。
数ヶ月が送られてきたハガキが、無情にもわたしが一発のスピード違反で90日の免許停止、いわゆる長期免停になったことを示していた。
後日違反した他都道府県管轄の施設で、撮影された自分がわたし自身であると証言したあと、さらに一ヶ月して在住の県庁で意見の聴取があり罰金を払う。これが安くて8万円。。。痛い勉強代だ。
ここで正式に90日を言い渡されたわたしは、何せ営業職。車を取られては(取られたのは免許だが)仕事ができない。短縮講習を受けることにした。
1日目
家から小一時間の運転免許センターへ。9時までに受付を終わらせないと当日は受講できないらしい。その割にアクセスの提示がイマイチ。ホームページを見ても、案内の紙を見てもよく分からない。どうしてこうもお役所の施設はインフォメーションの提供が下手なのか。そもそも違反者である我々がそんな生意気なことを宣ってはいけないのかもしれない、が、それにしてもだ。Googleマップを確認する限り、周囲に昼食を取れそうな店は少ない。免許センターに食堂があるかもよく分からない。となれば、駅のコンビニで何か買っていく時間も換算せねばならない。。。
おかげで大変早く到着し、無事一番乗りで一番前の席と相成った。11番。それがわたしの番号。お役所の時間管理は苦手だ。もちろんサービスではないのだから仕方ないのだけど。
講義は適性検査に始まって座学が3時間。
渡されたリーフを教科書にして授業されるが、1日の終わりにある試験に出る箇所は先生が教えてくれるので難しくない。
基本的に物腰は穏やかだが、居眠りは割としっかり叱られる。なんだかそういうの、小中学校以来で胸の奥がにがーーーくなるような、落ち着かない嫌な気分だ。頼むから15番君、講義の間くらいはなんとか頑張ってくれ。眠気に争うくらいの努力は見せてくれ。教官の言い方がイラっとするのはわかる。ムカつく中学の数学教師を思い出させるのは分かる。だが、15番君、これ以上教官に荒っぽい言葉遣いをさせるのをやめてくれ。若者をバカにしたセンセイたちの押し付けるような態度を引き出すのをやめてくれ。そういうの私、大嫌いなんだよなあ。
非は完全に私にある。
とにかく私は90日を免停。これを半分に短縮して貰うためには、明日もここに来なくてはならない。あの日のスピード違反が、誰も傷つかなかったのが奇跡だと思うしかないのだ。
クラクフからワルシャワへ
私はあらかじめ移動の切符を取っておいたが、そこまで混雑することはなさそう、という印象だったため、超ハイシーズンを除き事前予約は必須というわけではなさそう。
交通自体は発達しているので、あまりにも早く来ても、電光掲示板を眺めつつひたすら待つことになる。
鉄道は割と安全で時間にもしっかりしている印象。
クラクフから約一時間半から3時間(うろ覚え)で、ワルシャワに到着。ワルシャワ中央駅 以外にも、ワルシャワochota 、などあるので注意。
途中はひたすらの、田園風景で、とにかく暇なので本を2冊ぐらい持っていくことをお勧めする。私は一冊読み切ってしまい、かなり時間が長くすぎた。
ワルシャワ中央駅に到着。
バス乗り場がやや複雑だが、人に聞くなり、地図を見るなり、駅のwifi につなぐなりして、とにかくホテルまでのバスを確認。
着いた時は戸惑ったが、数日後あっという間に慣れるのでバスもメトロもたくさん乗った方がいい。
(もちろん、ホテルまでの道順が不安なら、タクシーに乗ってもそう高くはない。タクシー乗り場も駅の表示を見れば間違いようがないので安心。)
ワルシャワ1日目は、旧市街をぶらぶら歩いた。
数年前に訪れていた私にとってはとても懐かしく、美しい風景だった。
郷土料理も、日本人に合う風味でとても美味しい。
夜中はいざ知らず、少なくともオフシーズンのワルシャワはとても治安も良く、快適な都市だった。
サニタリーショーツ ってひょっとしていらないんじゃないか
小学5年生の春だったと思う。
自然学校の準備のための時間、私たちは男女で教室を分けられて、女子たちは保険の先生に 生理 について教わった。
ショートカットで引き締まったマラソン選手みたいな明るい先生は、その後も何度か年賀状をやり取りした。
その保険の先生が、優しい声で言うのだ。
「とっても大事なことだから、正しく知って欲しいのよ」
一足飛びに大人になっていく少女たちの不安定な心は、包み込まれるような安心感と、秘密めいた結束感に、少し嬉しくなったものだ。
深緑の黒板、チョークの濃さ、小さな机は粗削りの木板。教室を包む空気は水色とかピンクのマーブル模様だったに違いない。
ところでその初めての 生理 の話の際、ナプキンとサニタリーショーツの使い方を教わった。
生理になったら、専用の下着を身につけて、そこにナプキンをつけましょう、と。
私も当然授業や母親に教わった通りに、専用の下着に履き替えた。
だが、月の物と付き合って15年以上、実に180回目の生理が訪れる頃、私はどうしても分からないことを無視できなくなっていた。
サニタリーショーツが、役に立ってる気がしない。
ナプキンを使用する場合、下着のフィット感は非常に大事だ。サニタリーショーツの多くはその伸縮性の高さでその点をクリアしている。
が、普通の下着でも、適度なフィット感があるものなら十分対応できるのだ。
しかも、サニタリーショーツと謳っている商品でも、サイズが大きいのか私のお尻が小さいのか、ゆるくて不安なものもある。
また、サニタリーショーツの最大の特徴は、クロッチ部分が防水布になっている点だと思う。
これはナプキンがずれたり許容範囲を超えた出血量の際、漏れないためのものだ。
だが、羽根つきを使う私は、ずれることもそう多くなく、仕事で長時間ナプキンを変えられないとかも漏れたことはない。
これは経血の量や運動量で個人差があると思うが、シャカシャカ素材の下着を履くストレスの方が勝るのではないか。
さらに、慣れてくるとナプキンよりタンポンの方が圧倒的に楽である。それならナプキンほどショーツに気を使う必要もない。
さらにさらに、ナプキンに追い打ちをかけるのが、ここ数年で一気に浸透してきた感のある パンティライナーの存在だ。
小さくて持ち運びも楽なので頻繁に変えられるし、ナプキンほど蒸れたりごわごわしないし・・・ふつうの下着につけられるのでサニタリーショーツは必要ない。
結果、1~3日目…タンポン+パンティライナー+通常下着
忙しい2日目…タンポン+ナプキン+サニタリーショーツ
4日目以降…ナプキン+通常下着
これが個人的にベストなのではないかと思う。
「生理が来たら、ナプキンを使って、専用の下着をつける」
そう習ったのはきっと間違いではなかったのだろう。
小学生にタンポンは、抵抗がある子が多いだろうし、うまく使えないとトラブルにもなる。
だが、何事も最初に習うのは、物事の一端。最も手軽な対処法に過ぎない。
私もいい大人になったことだし、あの日の保険の先生はそろそろ退職を迎えるだろう。
クラスの半数が女子だった教室は、100人のおっさんと数人の女性社員がいる営業所に姿を変えた。
10年も履いたサニタリーショーツはすっかりくたびれてほつれている。
さみしいけれどサヨナラだ。
大人になるっていうことは、少しずつ鮮やかな思い出をセピア色にぼかしていくことなのかもしれない。
クラクフ2日目
朝とても早く目がさめる。朝食のメニューは昨日と同じ。
ホテルでピックアップしてもらい、ヴィエリチカ岩塩坑へ。美人のガイドと愉快なドライバーに連れられて車で20分ほど。道中、ドライバーはあまり上手くない英語でずっとジョークを飛ばし続けた。ロシアや宗教に関する結構際どいジョークも多かったようだが大丈夫なんだろうか。
また別のガイドに連れられて長い長い階段を降りて岩塩坑の中に入る。写真を撮るには10ズロチ余分に払って、撮影許可シールを胸にはらなければいけない。(のだが、内部では結構みんな勝手に撮っているし、スマホのカメラ程度ならガイドも特にチェックしていない)
内部はかなり広く見応えがあった。古い時代から順に説明してもらい、途中塩で出来た王の像や教会をみられる。
現在も採掘が続いているらしい。給料はいいけど女性は働けないんだって。
ルートにいくつかお土産屋さんがあるが、地上に上がってからも大きめの店があるのでそちらで買うのがオススメ。
博物館も併設しているが、多くのツアー観光客は行かないようだ。
この日は晴れていたので、昨日ゆっくりみて回れなかったバベル城の外観や、まち歩きをメインにした。探していたドラゴンの像の写真も撮れた。
昨日は雨のせいで観光客も少なかったのだが、マーケットスクエアはたくさんの人がいたし、観光馬車やセグウェイ、シャボン玉おじさんで賑やかだった。ちなみに昨日は見かけなかったホームレスや花売りもいた。雨の日は休業しているのだろう。