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所謂「困り笑い」が好きだ。
二次元なる場所で、優男がよくやるアレだ。
眉毛が優しくㇵの字を描き、目は細められ、口はややひきつったように左右に伸びる。
まさに愛しさと切なさと心強さを奥にひそめた、そんな顔。
なんて魅力的な表情だろう、と思うとともに、実際にそんなカオをする人を見たことがない、という気がする。
そんなカオをする人がいたとしても、私の記憶に残っていないということは、きっとそれは特に魅力的な表情ではなかったのだろう。
女の子(とそんな女の子を崇め奉る男子)に大人気の「困り顔」とは違うのだ。
現実の私たちは、困りながらも優しく笑う、なんて芸当はできないのか。いや、その芸当の結果がとても情けなくて残念なカオなのだろうか。
たぶん
私たちの「困り笑い」、ときには「失笑」というのかもしれないけれど、それは和億ある私たちの表情のほんの一つにしか過ぎないのだろうと思う。
人の表情というのは本当に豊かなもので、何を考えているか全くわからない人がいたり、こちらの印象とはまるで違うことを考えていた、という人もいる。
(ちなみに私は感情が表に出やすい方だ。)
数あるいろんな表情の中でも、やっぱり笑顔っていいな、と思う。
顔がクシャッとする強面も、だらしない口元の少年も、豪快に笑う美人も。
空に向かって笑い飛ばせる人は、なんとなく立派な人じゃないだろうか。