おくらばせながら、新年の目標！

一人暮らしの営業職という職業柄、たいていの食事は一人で取る。そしてそんな仕事柄に性格も影響して、一人で外食することも多い。

一人の食事は寂しくなりがちだ。

大して面白くもないテレビを見ながらだったり、仕事のメールに返信しながらだったり、上司の悪口をつぶやいたりしながら。

一人ではない食事も、楽しいものばかりではない。

会社員であるということは、向き不向きに関わらず会社員的な立ち居振る舞いを求められるということでもある。そんな日の飲み会や会食は辛い。周りのグラスの開き具合を見ながら、食べるペースを調整しながら、作った笑顔で相槌を打ちながら。

私が中学生くらいのころ、母と駅ナカのイートインのパン屋さんでパンを食べていた時の話。

たぶんその日はこれから見に行く映画までの時間つぶしに、お茶がてらパン屋に寄ったんだと思う。

私が母とパンを食べながら話していると、初老の女性に声をかけられた。

「あなた、本当に美味しそうに食べるのね。今日はいいものを見せてもらったわ、ありがとう。」

思春期の私と、自分のパンも半分くらい娘に食べられた母がぽかんとしている間に、女性は行ってしまった。

一瞬の、ずっと前の出来事だったが、その女性の一言は、私にある種の自信を与えてくれた。「私は、食べてるだけで周りを幸せにできるんだ」

思春期の私は大人になって、あの頃のような自信もなくなり、(他にもいくつかいろんなものを失った。) 食べる時間がいつも幸せな時間ではないと知った。

だからこそ、今年の私の目標は「一日一回はおいしく食事を楽しむ」にした。

どんな一日にも、幸せに気分を切り替えるチャンスが三回ある。朝ごはん、昼ごはん、晩ご飯。

そのどれか一度が、たとえカップラーメンでもコンビニ弁当でも、心豊かにできる時間になるなら、きっと私の毎日は大丈夫だ。

心安らぐ、穏やかで楽しい時間が、去年より今年にたくさんありますように。