chofchof's blog

神戸在住の社会人四年目。趣味と実益を探し求める日々。

シン・所長とシン・ゴジラ

わが営業チームに新しい所長が来た。

本社にしばらく居座っていた前任の所長とは異なり、シン・所長は数ヶ月前まで私たちと変わらぬ営業職の一員、駒であった。

前の所長とはどうしてもソリが合わなかった私も、これで少しは会社の社内的ストレスからは解放されるだろうか。どうだろうか。

そんなシン・所長の趣味は映画鑑賞だという。

彼は毎月の営業所会議の冒頭、最近見て面白かった作品を紹介する。8月のおすすめ映画はシン・ゴジラだということだ。

以前から興味もあったし、ここはサラリーマンらしく上司と共通のネタを仕込んでおくに越したことはない。

予定のない休日、私は「君の名は。」を見に来たカップルや女子がひしめく映画館へと足を運んだのだった。

 

パニックムービーではない、という前評判をそのままに、確かにゴジラが家をなぎ倒したり、人が逃げ惑い殺戮される、という迫力を楽しむ類の映画ではなかった。

会議が多いところ(それでも現実はもっと会議ばかりで作戦は前に進まないのだろう)、キャストがやたら豪華なところ、エヴァっぽいところ、在来線爆弾、などなど。いい意味でツッコミたいところはたくさんあった。語らいたい。

中でも特に強く感じたのは、本作品はゴジラという荒ぶる神を通した3.11のオマージュだということだ。第二形態のゴジラがもぞもぞと這って家々を押し崩す様、打ち寄せられる瓦礫や車は、3.11の津波のニュースで繰り返しテレビで流れたものと同じだ。CGを作る際にもかなり参考にしていたりしそうである。

見ていてツライ人も多かったんじゃないだろうか。

総理大臣が亡くなってもすぐに代役は決まるだろうし、各分野の技術者は不休で仕事をしてくれるだろう。自衛隊は強くあれど、決して市民に武器を向けないだろうし、アメリカが核を使うといえば、日本人はその決定を何をしてでも覆そうとするだろう。

そういった多くの点で、シン・ゴジラは物凄くリアルな災害映画だったな、と思う。

 

もちろん、暗くなってしまいそうなテーマの中、各キャラクターが所々でニヤリとさせてくれた。

俳優陣の豪華さが、それだけでテンションを上げてくれる。エンドロール見ながら、え、この人出てたかな?とか。マフィア梶とか。

 

もちろん、当のゴジラは迫力があった。

昔のゴジラは全く知らない私でも、すり足で歩くゴジラが姿を現した時、待ってました!とワクワクしたし、もう熱線やらビームやら尻尾やらでチートすぎる能力を見せつけられると、すげえというかなんというか、ちょっと笑ってしまうほど呆気にとられた。強すぎでしょ。

 

あと、無駄な人間ドラマや御涙頂戴の人情が入ってこないのも良かった。登場人物たちにも彼らの身を案じる家族や友人らはいるのだろうが、ヒューマンドラマ的になるシーンは一切なし。「愛と感動のドラマ」みたいにチープにならなくて良かったと思う。

 

そんなわけで、エンドロールまでたっぷり楽しめた。

 

 

さて、数日後上司と終日同行、つまりおっさんと1日中車の中までべったり、という機会があった。

結果大成功である。父と同世代の上司とは、何気ない話題を探すのは難しいが、ゴジラネタで大いに盛り上がることができた。

何より、「上陸してきた時のゴジラ、もぞもぞしてて目まんまるで可愛かったよね」という上司に、やっと話のわかる人が周囲にいた!!と、第二形態ファンの私は大喜びなのであった。