おばあちゃんとバジル
先月、しばらく家を開ける用事があって、育てていたバジルをおばあちゃんの家に預けた。
私のおばあちゃんは、自分のことを「花咲ばあさん」と呼ぶ程度には鉢植えの世話がうまい。
マンションのたいして広くないベランダには、昔からたくさんの植木鉢があった。夏には小ぶりながらたくさんのハイビスカスが咲いたり、何年も放置していたサボテンが突如立派な赤い花を咲かせたり、いただいた高級な蘭は針金で固定もされず、広い滝のように咲き誇っていた。
彼女のやり方では、余分なものを選定したり、大げさな肥料もやらず、もちろん小さい蕾も摘んでしまわずに育てるから、一つ一つは小さいけれど、お店では見られないくらいたくさんの花や実がつくのだ。
なんでも、のびのびと自然のままに育てるのがいいらしい。(厳しすぎた子育ての反省だろうか。)
おばあちゃんに預ける前のバジル
一週間後、
見比べてみると改めてすごい。
葉も厚くなって緑が濃くなったように感じる。
私からの預かり物ということで、日中はベランダでしっかり日に当て、夕方からは部屋の中に入れて、大事に世話をしてくれていたらしい。
預かり賃にバジルの葉を何枚かプレゼントし、大きくなったバジルを抱えて、私はあったかい気持ちで家に帰ったのだった。
つづく